NEGATIVE BALL

さいたま近代美術館にいって、MOMAS展を見に行った。

久しぶりに現代アートを見ると何を感じるのだろうか。何か得るものがあるだろうか。 (という期待をして毎回チャレンジするけど、いつも撃沈している)

今回も、いろんな作品を想像力を働かせて見てみる。何となくこんなものを書いたのかなーとか、この人はなぜコレを描きたかったのだろうかなどと適当に想像してみる。ほとんどのものはよくわからなかったか、あるいは自分にとって価値のあるようなものを感じることはなかった。

ただ唯一、志水晴児氏の "NEGATIVE BALL" という屋外に飾られた展示物にだけ、吸い付かれるように心を奪われた。

立法体の一部を球でくり抜いたような作品。まるでPower Pointで2つの図形を合成して切り抜いたようなもので、球型の穴の下部にはここ数日降った雨水が濁って溜まり、枯れ葉などのごみ、そしてボウフラのような微生物が漂っていた。

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negative ball

予備知識なく、現地で見ているときは、正面から見るとなんとなくハートっぽく見えるけど、なぜ"Negative"なのかなと思った。くり抜いて反転させている = "Negative" ?なのかなーと考えた直後に、全く別のところから、別の考えが突如浮かび、ハッとした。それはアドラー心理学の「意味づけ」だった。

一つの事象は、見る人独自のメガネによって意味づけされ、解釈される

といったような意味だ。

rj77.hatenablog.com

つまり、完全な球体をあえて反転して、Negativeな視点で見ると、こうやって重くてゴツゴツしたものになり、中に不純物が溜まってしまい、いろいろと厄介に見えてしまうけど、見方を変えればもっとシンプルなんだよ、ということである。

何も解説がないし、答え合わせのしようがないのだけど、まあこれは多分、偶然による完全に個人的な解釈であろう。最近アドラー心理学に傾倒していることで、自然とそういう見方になっただけかもしれない。でもなんだか自分の中でとてもしっくりきてしまい、すごく惹きつけられたのだった。これのポストカードがあったら買って帰ろうかと思ったが、残念ながら見当たらなかった。

このオブジェについて、あとで検索してみたが、以下の記事にあるような見方が一般的なのだろうか。

www.sarashinado.com

現場で自分が見たときはしっかりと日があたっていなかったこともあって、内側に球体が浮いているようにも見えなかった。 もしかして、水が反射して球体の内側に投影される影が、凹んだ形に投影された球だから、"NEGATIVE BALL" なのだろうか。(でも凹型をNegativeというかな??) どちらにせよ天候という偶然性が大きく関わっているのは確かである。もし自分が製作者だったなら、ある偶然が成立しないと理解できないものを、説明無しで展示するということはしないかなーと思ったり。

どちらでも良いのかな。コンテンポラリーアートってこういうものなのかな、とちょっと思ったのだった。

あと、さいたま近代美術館がある北浦和公園には中銀カプセルタワーの展示があることを後で知りました。。。残念。またいつか行きます。その時に "NEGATIVE BALL" を見たら自分はどんな解釈をするのだろうか。

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