「働く人のためのアドラー心理学」

働く人のためのアドラー心理学

 

 

読みました。

 

最初にまとめる

アドラー心理学の本質をシンプルにまとめた上で、ストレスにさらされる働く人がどのような行動すべきか習慣を示すという本で、読みやすく良い本だったと思います。

☆☆☆☆★

 

以下、まとめ。

 

アドラー心理学の基本

自己決定性

  • どんな状況であっても、どんな能力が劣っていても、それだけで人生はきまらない。その後の人生をどうするかは自分で決めることができる

 

  劣等性+劣等感+生育環境

       ↓

     自己決定性

       ↓

建設的な対応 or  非建設的な対応

 

 

これはとても勇気が湧いてくる言葉ですね。タイタニックでそんなこと言っているシーンがあったなと思い出して検索してみたが、思ってたほど近いこと言ってなかった。思い出補正は怖い。

 

人生は贈り物。ムダにはしたくない。

どんなカードが配られても、それも人生。

毎日を大切に。今を大切に

 

目的論

  • 人は、原因があるから行動するのではなく、目的があるから行動する

    ストレスが原因で会社に行きたくないのではなく、会社に行きたくないという目的があるから具合が悪くなる

  • 原因を探っても過去に戻ることはできない。過去は問わない。他人のせいにしない。自分が未来に向けて、今から何ができるか

 

これまた勇気が湧く考え方。過去にどんな失敗をしてもそれとは関係なく、未来を良いものにできるはずだと。

一方で、とっても厳しい。会社に行きたくないから具合が悪くなるというのは、もちろん正しい場合もあるだろう。でも本当にストレスで心身を壊している場合も多くあり、そんなときでもこんな事が言えるのだろうか。無意識レベルで、ということも含めるのであれば、そう言えるような気もする。

 

全体論

  • 人間を部分に分けることはできず、全体から捉えなければならない

  • 意識と無意識、理性と感情、心と身体など

    タバコが体に悪いとわかっちゃいるけどやめられない=やめたくない

 

これも厳しいと感じてしまう考え方だけど、結構しっくり来る。

 

認知論

人間はそれぞれ自分独自のものの見方、考え方(心のメガネ)を通して現実にふれ、意味づけ、行動している

 

 現実、出来事、経験

     ↓

  意味づけ・解釈

     ↓

  行動、感情、判断

 

 

対人関係論

人間の行動には必ず「相手役」がいる

相手によって行動が変わる。

 

習慣を変えれば状況は変わる

  • 性格は思考・感情に加えて、癖・習慣、行動の積み重ねによってできている。つまり性格とはライフスタイルのことであり、変えられるものである
  • 癖・習慣は、以前の体験から「そうしたほうが良い」と判断した結果なので変えるのは難しい場合はある
  • もしいま仕事や人間関係で「もう疲れた・・・」と肩をおとしボロボロになっているとしたら、まずは癖や習慣を変えてみる

これはもう、過去に読んだ名将・野村克也氏の言葉しか思い出せなかったけど、調べてみると別の人の言葉なんですね。しかもいろいろと細かいバリエーションがありそう

 

心が変われば行動が変わる。
行動が変われば習慣が変わる。

習慣が変われば人格が変わる。
人格が変われば運命が変わる

ウィリアム・ジェームズ

 

以上、アドラー心理学の基本を踏まえた上で、本書で推奨する「習慣」である。後半は必ずしもアドラー心理学と直接関係があることだけではないと感じたが、どうだろう。

 

習慣1「ありのままの自分」を受け入れる

自己受容

  • 自分のだめな部分も、過去の自分も含め受け入れる。自分にイエスと言う。自己決定性につながる考え方

いかなる経験も、それ自体では成功の原因でも失敗でもない。我々はトラウマに苦しむのではなく、経験の中から目的に合うもの見つけ出す。経験の与える意味によって、自らを決定している。

  • 過去の経験を良いとか悪いとか判断せずに、これからの自分にとって良いものにする
  • 自尊心を保ち、自分の品位を下げない行動をする。

 

何歳になっても自己受容は難しい。でも前述の自己決定性や目的論の発展と考えれば自然と頭に入ってくる。

あと、自分の品位を下げないという言葉もとてもなにか心に大きく訴えかけてくるものがある。ジョジョの1部か3部か5部あたりで似たようなセリフがあった気がする。あるいはクリストファー・ノーランバットマンシリーズとかだったかな。

 

習慣2 自分を知る

  • 強みに目を向ける
  • 短所を長所に言い換える
  • 本当の自分の気持ちを知る

 

習慣3 失敗や欠点を糧にする

アドラーは身体的な劣等感・劣等性をもっていたが、それをハンディキャップとせず、むしろそれを生かしてアドラー心理学を作り出した

人は目標を持つ限り劣等感をもつ

 

習慣4 負の感情とうまく付き合う

  1. 感情はあるきっかけによって作り出され、特定の相手に対して、なんらかの目的を持って使われる
  2. 感情はコントロールできる
  3. 感情は自分のパートナーである
  • 遅刻した相手が部下なら「怒り」、上司なら怒らずに言う。→相手に時間を守らせるために、感情を選択している
  • 自分が不機嫌でいるのは「誰かを拒むための良い手段」だったりする。それなら「自分は何が目的で不機嫌でいるのだろう」と考えてみる。
  • こんなとき○○ならどうするだろうと考えてみる

これはアンガーマネージメントをする際に重要な考え方になりそう。

 

習慣5 建設的に考える

アドラー心理学では、良い・悪いとか正しい・間違っているよりも、建設的・非建設的という判断軸を大事にしている

  • 建設的に考え、自分にできることをする
  • 過去の失敗を無理やり今の自分の現実につなげて考えているのは自分自身
  • 「最悪の事態はおこらない」と開き直ってしまう。そして建設的なモードに戻す
  • 人間のやることに対して「なぜ」と問うのは避ける。自分も言われたら追い詰められているようでいやでしょ?
  • Even if: たとえ困難な状況にあっても、自分にできることがあるはず

 

本書を読む上で個人的に一番実践したい(できてない)と思ったところがここかもしれない。

 

習慣6 大局から見る

  • そもそも論で考える
  • 本質的な問題と小さな問題をはっきり見極める
  • 小さな問題を考えすぎない。
  • 本質的な問題は、自分や家族の人生や命に影響を及ぼすことだけとも言える。

そうよね、これは本当にその通りなんだけど、本当に困難に直面すると、この視点に気付けなくなってしまったり、判断力がなくなって、大局から見ても局所だけ気になるみたいになってしまうことがあるのは要注意かなと。

 

習慣7 共感する

対人関係のすべては相手のことを見ていないために起きる

共感とは、相手の目で見、相手の耳出来き、相手の心で感じること

  • 心のメガネをかけかえる
    1. 心のメガネの違いを知る:同じ物事に対する見方・考え方はどこが違うのか
    2. 相手の心のメガネをかけてみる:相手の見方・考え方を理解してから、もう一度同じ物事を考える

 

習慣8 勇気をもつ

  • 困難は乗り越えられる、と信じる
  • 勇気は、建設的な人生を歩むのに欠かせない力
  • 誰かを勇気づける
  • 勇気づけとは、相手がより強く、自分を信じることができるようにすること
  • 相手を信頼し、相手の中によいものを見つけることができる人が「勇気づけができる人」
  • 「変えられないものを受け入れる勇気」
  • 「変えられるものを変える勇気」
  •  

僕はアドラー心理学は「嫌われる勇気」から入ったので、タイトルを見た瞬間にまあそうくるよね、と思ったのでした。結局は勇気です。勇気を出すだけだ!と言われるだけでも、僕の場合はなんとなく勇気が湧いてくる気がする。

 

 

あと最後のところは宇多田ヒカルのwait & seeの歌詞を思い出した。

変えられないものを受け入れる力を

そして受け入れないものを変える力をちょうだいよ

こちらも改めてみると少しニュアンス違うんだけど、たった17年しか生きてない人間がこんな事が思いつくかね。恐るべき17歳。。。

 

 


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以上。