2020シーズン 浦和レッズ 新強化体制記者会見について思うこと
去年2019年12月13日に行われた浦和レッズの新強化体制の内容について。
まずはじめにはっきりしておきたいのは、どんな体制であれ、どんなフロントであれ、考えであれ、自分は浦和レッズに対する距離を変えようとは思わない。これまで通りに好きだし、サポートするし、可能な限り参戦したいと思っている。今クラブにいてくれている選手たちをサポートしたいからだ。それ以外にはない。
その前提の上で今回の会見をついては思うことをいくつか書いてみたいと思う。
かなり長い文章の記事なので賛同できる部分とよくわからない部分が混在しているが、全体として自分なりに評価すると、
- フロントが言いたいことは概ね理解できた
- 目指したい方向も理解できたし、悪くはないと思った
- ただし進め様については疑問しかない
というところだ。
1つの事柄についてポジティブな面とネガティブあるいは不透明な部分をキレイに分けられないので、発言に対して、まさにブログ的にコメントしていく。
代表といたしまして、これから浦和レッズを本当に強い、私が2年前に来たときに最大の目標として掲げたFIFAクラブワールドカップの優勝というものにチャレンジしていく、そういった強化の体制というものを考えたときに、今回、今までにない新しい発想で、新しいことをやっていける、そういったメンバーを集めることにしました。
クラブとして目指しているものがCWC優勝というのは、視野が狭いというか短絡的といわざるを得ない。そんなクラブが世界中にあるだろうか。トーナメント戦だし、運がよいと優勝することはできるかもしれない。「で?」ということだ。
この場でトップとして会見するならもっと大きな目標を語らないといけないと思う。顧客価値の拡大なのか、クラブの規模の拡大なのか。運の要素が大きくないものでないといけない。
そして後半部分がまたアホっぽい。今までにない発想ってなんだろう。イノベーションを起こすぞ!、みたいに言うだけの人と同じ。むしろ近年のサッカー業界はロジカルに動いてきていて、それはピッチの中でも外でもどの傾向が進んでいる。親会社の三菱のような古い会社ではイノベーションイノベーションって連呼されているのかもしれないな。
西野は浦和レッズの選手、その後、今は大学の教授をしています。しかもスポーツマネジメント、これを非常に深く考えております。世界中のサッカー、あるいはクラブのスタイル、これから先々どういったサッカーがトレンドとなるのか、そういったいろいろな情報を持っていますし、知見もあります。
ここは期待を込めてポジティブに捉えたいと思った。外の世界を見てきた西野は確かになにかをクラブにもたらしてくれるかもしれない。偏差値高いし。でも実績がないという点においてリスクでもある。何を学んでたのかよく知らないし。
二人の共通点は、チームを強くしたいというギラギラした強烈な意志と覚悟、そういったものを感じたというのが、一番の経緯でございます。
強烈な意思とか覚悟とか、そんなものはどうでも良いのです。具体的にどんな内容のプレゼンをされたのかほうが重要で、その説明を聞きたかったかな。
我々が抱えている課題は、一貫したコンセプトの不在です。そのチームの柱となるべき一貫したコンセプトがないため、監督選び、選手選びの基準、サッカーのスタイルがその都度変わり、短期的な結果を求め、求められ、今まで来ました。『浦和レッズのサッカーは何なの?』と問われたとき、答えられない自分がいました。これからはチームの方向性を定めて、来シーズンからスタートすることが最も重要だと考えています。
ここは広く言われているところだし、大きく間違ってはないと思うけど、必ずしも一貫したコンセプトにする必要はないんじゃないかと自分は思う。なぜなら、はっきり言って監督が変われば戦術は変わるからだ。一貫したコンセプトを貫けるのは世界のごく一部のメガクラブだけだ。それ以外のメガクラブもスタイルは変わっている。そういう事ではなく、一番の問題は、あまりにもガチャガチャ変えまくること、自分たちの特徴と目指す方向があってないことだと思う。
「敵を知り、己を知れば百戦あやうからず」という孫子のことわざは主に戦術面のことを指しているのかもしれないが、浦和の戦略的に当てはめて言うと、己を知ってないまま動いていることになる。
前任者や保有戦力と真逆の考えを持つ監督を招聘してもうまくいかない、ということが問題の本質だと思うけど。
これからチームコンセプトをつくっていく上で最も大切なのが、『浦和の責任』というキーコンセプトです。
おい、マジか。
・・・それコンセプトちゃうやろ。
一つ目は、『個の能力を最大限に発揮する』。二つ目は姿勢として『前向き、積極的、情熱的なプレーをすること』、3つ目は『攻守に切れ目のない、相手を休ませないプレーをすること』。
まず、攻守一体となり、途切れなく常にゴールを目指すプレーを選択することです。具体的に簡潔に説明しますと、守備は最終ラインを高く設定し、前線から最終ラインまでをコンパクトに保ち、ボールの位置、味方の距離を設定し、奪う、攻撃、ボールをできるだけスピーディーに展開する、そのためには積極的で細やかなラインコントロールが必要になると思います。
これは多分ストーミングと捉えて良いと思う。
ここは意見が分かれるところだと思うが、個人的にはこの方向性は悪くないと思った。実現できるかは知らないけど。
でもね、一番気になったのは、「浦和の責任」も、ストーミングも、こういう場で「やります!」と言って決めるものじゃないんですよね。愚かな戦略によって資産をドブに捨てるようなことをしなければ、自然と醸成されていくものなんだよね。責任というのは言葉で説明するのではなく、トップなりマネジメント層が明確なビジョンや計画を示せば勝手に育つもので、「責任を持て!」なんて指示で身につくものでは決してない。社会主義でも軍隊でもないんだから。戦術についても、前任者の資産を活用しようと思えば自然に方向性が決まってくるんすよ。
来季から、3年の計画をつくりました。
(中略)
2020年は3年改革の1年目として、変革元年としました。キーコンセプト、チームコンセプトを浸透させながら、ACLの出場、シーズン終了後、得失点差プラス2桁以上が目標となります。
とりあえず中期計画として内外に打ち出したのは良かったと思う。長い目で評価しようという気持ちが大部分のサポの間には生まれただろう。
でも、細かいけど得失点差とかこの状態になったらどうでもよくないか。それよりもピッチ上での戦術の整理のほうがよっぽど重要だ。
3年計画の1年目を戦う上で、大槻(毅)監督の続投を決めました。
ストーミングを本気で目指すなら、プロを呼ばないといけない。絶対に。気持ちの部分はSDさんがいるんでしょ。少なくても戦術的な面をサポートするコーチをつけなさい。それは必須だよ。
サッカー界だけではなく、これからのスポーツ界では、そうしたデータの活用やITソリューションの活用というものが非常に重要な要素になってくると考えています。そういったサイエンスメント、監督や指導者の経験値とかひらめきとか感覚的なところ、そうしたアートのところを一緒に進行させてアプローチさせていけるチームが強いチームになると考えています。
多分、随分前から実は進んでいるんだけど、浦和が知らなかった事じゃないかね。西野が持ち込んでくれるとしたらまあポジティブに捉えたい。しかし、サイエンスメントって言葉あるの?
コンセプトがない中、不確定の中、目先の勝利、目先の結果ばかりを追い求め、うまくいかなくなったら監督が変わり、サッカーが変わり、獲得する選手も変わり、その繰り返しを重ねていく、それは今後の浦和レッズにとって、そこは避けたい、新しい浦和レッズをつくるためには新しい目標を立て、コンセプトをつくり、チームをつくっていく、そういう流れにしないといけないと思っています
まあちゃんと学んでくれているなら良かったなと。
選手に伝えたときの選手の状況、はっきり申しまして、この言葉の意味、重さ、理解していない選手がいるのは事実だと思っています。それは先シーズンまで私がピッチの上で仕事をしていても感じてきたことでもあります。
こんなこと記者会見で言わずに個人的に伝えればええやん。それが最短の近道かつ効果のある対応ですよ。先シーズン何してたの?
移籍のことですが、確かに先ほどおっしゃった通り、選手の出し入れが、実は簡単ではない状況ではあります。選手の契約年数は、来年にまたがっている選手がほとんどです。
これは、事実だとしてもマネージャとして公の場で言ってはいけない部類の事だと思う。今いる選手たちに失礼だし、来季契約が切れる選手たちは、2020シーズンを猜疑心とともに戦わなくてはいけない中で、実力を発揮できるのだろうか。
そこで今考えている補強ですが、FWには結果の残せる選手を獲得したいと思っています。
これはまあ分かるけど、レオナルドはストーミングとは合わない選手のような印象を受けるな。役割も興梠慎三をかぶるっぽいし。興梠慎三・レオナルド・ファブリシオ・杉本をどうやってまとめるのだろうか。
後はセンターバック、そこも重要な補強ポイントの一つと考えています」
これはよくわからなかった。枚数は足りているし。前述の責任感のない選手がいたという話と関係があるのかな、なんて深読みしてみる。
あともしリバプールを想定しているなら短絡的にモハメド・サラーとファン・ダイクが必要、という発想になったのかしら。浦和のフロントっぽい発想だけど。
個別評
記者会見は4人で行われたわけだが、記事を読んだ上でのそれぞれの印象についてもコメントしておく。
立花社長は去年の就任時の鼻息のあらい感じが2019シーズンの不甲斐ない成績によってすっかり抜けて、つまらない弱気なじじいに見えて仕方がない。トップは逆境・逆風にくじけない逞しさと具体的なビジョンが必要。ちょっと役不足ではないかね。
戸苅本部長はいわゆるマネージャー人で、ロジカルに話をする人かと思う。自分の会社とかにもいそう。
土田SDは明らかに感情でしゃべるタイプで、語った内容は精神論がほとんどであることと、ちょっと脇が甘いというか、明け透けに話しすぎている印象を受けた。
西野TDは言葉数は多くないが、具体的に話をする人で、説明が比較的うまいほうなのかなと
「浦和の責任」作戦を聞いたときに気持ち悪いなと思ったと同時になんか聞き覚えがあるなと思ったが、それは代表の「オールジャパン」戦略だった。
自分は、「外からの血」こそが組織を強くすると思っているので、浦和の責任もオールジャパンも、大嫌いだし全く上手く行く気がしない。
全体を通して
すでに何人かに出したオファーの断りが来ているとおり、選手にとっての魅力がかなり減ってきているのは事実で、由々しき事態と言える。しかし自分たちがすべてを失って真っ逆さまに墜落するような状態では決してないと思う。
今持っている資産をしっかり整理していけばある程度の成績は残せるはずだし、自分たちでコントロールできることはそれくらいしかない。サポを含め必要以上に悲観的な見方が多いというのはむしろフロントにとっては失うものがなくチャンスとも言える。
そして2020シーズンに関して言えば、現場のトップにかなり重責がのしかかってくる。大槻さん、2020シーズン、マジで頼みます。フロントはコーチをつけてください。