MY BOOK OF THE YEAR 2014
2014年に読んだ本で良かったものをまとめます。今更で恐縮ですが。。。
改めて見直すとこの年は教育系の本が多かったようです。
小説
アフリカの難民が受け入れ先の国で必死に生きながら、希望を見出していく話。と、サユリの話。
じんわりと心にしみて来るという感じの話だなと思いながら読んでたが、最後に、全体の話の構成についてのちょっとしたギミックが分かった時には、心地良い気分になった。
池井戸さんらしい勧善懲悪的な話なんだけど、こういったテーマが、群像劇で視点を変わりながら少しずつ核心に迫ってくる展開が自分にとって新鮮でした。
しかし、製造業で人間関係がこんなギスギスした会社ってあるのかな。
久しぶりの村上春樹でワールドを楽しめた。
村上春樹好きなんですけど、レビューを書こうとするととても難しくて困ります。
ちょっと笑えた下り。(348ページ)
新宿駅は巨大な駅だ。一日に延べ三百五十万に近い人々がこの駅を通過していく。省略
通勤ラッシュの時刻にはその迷宮は人の海になる。
海は泡立ち、逆巻き、咆哮し、入り口と出口をめがけて殺到する。乗り換えのために移動する人々の流れがあちこちで錯綜し、そこに危険な渦が生まれる。どんな偉大な預言者をもってしても、そのような荒々しく逆巻く海を二つに分かつことは不可能だろう。
教育系
学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話[文庫特別版] (角川文庫)
- 作者: 坪田信貴
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2015/04/10
- メディア: 文庫
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子どもと教育の可能性を、強烈な実例を持って思い知らされる本。
指導者が本当に優秀で、相手に合わせた指導ができれば、能力を最大限に引き出せる。もちろんこれは極端に成功した例で、指導される側も素晴らしい資質があったと思うけど。こういう関係になるともうなんでもできるんだな、と。
この親は親で、金は苦労してでも出すが、勉強に関しては立ち入らないし、本人の意思に任せて思い切って挑戦させる一貫した姿勢もなかなかできるものじゃない。
基底にある信頼関係が強固。先生とも、親とも。
以下、気になった言葉など。
- やってみせ、言って聞かせてみて、ほめてやらねば人は動かじ
- 相手が指示通りやらなかったら、自分の伝え方を変える。
- キリが悪いところでやめると持続する
- やる気スイッチを探すのではなく、やってみる、できる、やる気がでるの順番
- ビルの上で30cmの幅の板を渡るのはこわい。実際おちる人もいる。失敗を意識した瞬間に身体能力が低下する。失敗する、苦手、イヤだと思うと能力が低下する。
「生きる力」の強い子を育てる 人生を切り拓く「たくましさ」を伸ばすために (人間性教育学シリーズ)
- 作者: 天外伺朗
- 出版社/メーカー: 飛鳥新社
- 発売日: 2011/11/01
- メディア: 単行本
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日本の教育はほぼすべて「与える」教育をしているが、それによって「生きる力」が弱くなっている。現代に必要な「生きる力」の強い子を育てるには、引き出す教育による人間性教育を重視すべきと言う本。
大脳辺縁系の古い脳を土台として、大脳新皮質を育てるべき。身体性、情動、芸術的感覚などの生きる力のあと、理論を学ぶ。早くから読み書きの勉強を教えるのは間違いだと。
自分は間違いなくそういう教育を受けてきた。これを読んで、自分の子どもや社会に対して自分には何ができるかな。
内容はよく分かったし、ためになったが、もう少し実践的な内容を期待してたので、そこは少々期待はずれだった。次回作に期待。
効率の良い勉強の仕方を紹介してくれる本。
これを読んだら、なんか急に勉強したくなった。この本を読んだ意味として一番大きなものかな。
あと子供が勉強する頃に勧めたい。
教育白書というより、素敵な家族のドラマチックな愛情の物語。
もちろん子育てをする上で大切な教えが幾つもあったけど。
母親がなくなり夫が病気で入院中で、家族中が猛烈に忙しいという時に、著者が感じていたというこの点が子供を思いやる親として象徴的で一番印象に残った。
「心を痛めていたことがある。子供たちの大切な時間を、家のことのために使わせてしまったことだ。」
技術書
誰のためのデザイン? 増補・改訂版 ―認知科学者のデザイン原論
- 作者: D. A.ノーマン,岡本明,安村通晃,伊賀聡一郎,野島久雄
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 2015/04/23
- メディア: 単行本
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認知心理学者ドナルドノーマン氏が、身近な例を持って、デザインとはなんたるかを解説してくれる。
第一版は二十年以上前に書かれた本なので、当時ほどひどいデザインのプロダクトは溢れてないのかもしれないが、それでも現在のプロダクトのユーザーインターフェイスデザインにもまだまだ足りてない、重要な提言をしている。
こういう古い本にもAppleさんはよいデザインをしているとして紹介されていたり、または認知心理学上の概念を説明されると自然とAppleの戦略や思想を連想させられたりして、さすがだなあと思ったりしました。
ビジネス全般
Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか
- 作者: Brian W. Fitzpatrick,Ben Collins-Sussman,及川卓也,角征典
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2013/07/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ソフトウェア開発はチームワークである。その上で一番大事な事は、HRT謙虚、尊敬、信頼だ。
建設的批判をする。
そのチームの文化を尊重し、大切にすべき。新参者が壊してはいけない。
ミーティングは目的を明確に、人も最小人数で。
などなど、中身はいたって普通の事が書かれていると思う。ただ、実践する時には多くの邪魔が入るけど。
あと、リーダーであろうがマネージャーであろうがとにかくコードを書く時間を増やすようにすべきという点は、なかなか耳の痛い話だ。
その他
子どもたちのアイドルの生みの親であり、戦争の歴史の生き証人でもあるやなせさんは日本の宝だった。
いろいろ勉強させていただきました。